東京裁判で全員無罪を主張したパール博士
法の下に全員無罪。 パール博士は東京裁判(極東国際軍事裁判)の判事をしていた人です。東京裁判というのは昭和21年(1946年)4月29日から昭和23年(1948年)11月12日まで行われた戦争犯罪を追及する裁判です。この裁判は第二次世界大戦で戦勝国が敗戦国を裁くという一方的な裁判でした。
この東京裁判で11人の裁判官がいましたが、国際法の専門だったのはパール判事だけでした。裁判長のウェップはオーストラリア人で政治的な人物でした。アメリカの判事も当初は政治的な人で、途中で交代しましたが、法律行政関係の人でした。その他各国の判事も裁判官をしていた人もいますが、ソ連からは軍事裁判所の少将をしている人が判事になっています。アジアからはパール博士のほか、フィリピンから判事が選ばれていますが、アメリカに協力した支配階級の人でした。
オランダのレーリンク判事の回想によるとパール判事が「私は他の10人の裁判官の判決に縛られるつもりはない」と言ったので「反対意見」を許容しない判事らの構想は崩れてしまったと述べています。そして、多数はに組しない裁判官は自分が多数派に同意していると思われないために、自分たち自身の意見を表明せざるを得なくなったと言っています。パール判事の態度が一部の裁判官に法律家としての自尊心を目覚めさせたといえます。
パール判事は”「裁判憲章」の平和に対する罪、人道に対する罪は事後法であり、国際法上、日本を有罪であるとする根拠自体が成立しない”とし、日本人被告全員無罪を主張しました。「平和に対する罪」「人道に対する罪」というのはドイツを裁いたニュルンベルク裁判で創られたものです。法は不遡及という原則があり、後で決めた法律で過去を裁くということはできません。パール判事は法に従い、全員無罪を主張したわけです。パール博士は次のように述べています。
「私が日本に同情ある判決を行ったと考えられるならば、それはとんでもない誤解である。私は日本の同情者として判決したのではなく、西欧を憎んで判決したのでもない。真実を真実と認め、これに対する私の信ずる正しき法を適用したに過ぎないそれ以上のものでもそれ以下のものでもない」
パール博士は東京裁判の後、国連の国際法委員会の委員長として活躍され、日本にもたびたび来日しました。そして日本国民が東京裁判史観にまどわされて、自虐、卑屈にならないよう日本全国を遊説(ゆうぜい)しました。
昭和27年(1952年)11月6日、広島高裁における歓迎レセプションにて
「わたしは1928年から45年までの18年間(東京裁判の審議期間)の歴史を2年8カ月かかって調べた。各方面の貴重な資料を集めて研究した。この中にはおそらく日本人の知らなかった問題もある。それをわたくしは判決文の中に綴った。このわたくしの歴史を読めば、欧米こそ憎むべきアジア侵略の張本人であることがわかるはずだ。しかるに日本の多くの知識人は、ほとんどそれを読んでいない。そして自分らの子弟に『日本は国際犯罪を犯したのだ』『日本は侵略の暴挙を敢えてしたのだ』と教えている。満州事変から大東亜戦争勃発にいたる事実の歴史を、どうかわたくしの判決文を通して充分研究していただきたい。日本の子弟が歪められた罪悪感を背負って卑屈・頽廃に流されてゆくのを、わたくしは見過ごして平然たるわけにはゆかない。彼らの戦時宣伝の偽瞞を払拭せよ。誤れた歴史は書きかえられねばならない」
パール博士は平和公園にある「過ちは繰り返しませぬ」に代わる詩を執筆しています。
広島市中区 本照寺に建立された「大亜細亜悲願之碑」
激動し変転する歴史の流れの中に
道一筋につらなる幾多の人達が
万斛の思いを抱いて 死んでいった
しかし
大地深く打ち込まれた
悲願は消えない
抑圧されたアジアの
解放のため その厳粛なる
誓いにいのち捧げた
魂の上に幸あれ
ああ 真理よ
あなたは我が心の
中に在る その啓示
に従って 我は進む
一九五二年一一月五日
ラダビノード・パール
参考文献
小学館文庫「パール判事の東京裁判日本無罪論」田中正明著
中公文庫「東京裁判とその後」B・V・A・レーリンク/A・カッセーゼ編/序 小菅信子訳
参考サイト
浅岡指圧室
『パール博士のことば』(東京裁判後、来日されたときの挿話) 田中正明著
http://www6.plala.or.jp/mwmw/kotoba.html
WikiPedia「ラダ・ビノード・パール」
添付画像
パール判事の顕彰碑(東京九段・靖国神社内・遊就館前)2007年12月9日、Lover of Romance撮影
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東京裁判 パール判事【Tokyo Trial】
http://www.youtube.com/watch?v=-oBfWS6BEPs
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