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空の神兵と加藤隼戦闘隊

歴史を変えた空の神兵。

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 昭和17年(1942年)2月6日、7日、8日、13日とパレンバン航空撃滅作戦が決行されました。スマトラ半島のパレンバンは東南アジア有数の大油田地帯で、資源のない日本にとって最重要攻略目標地でした。14日には落下傘降下作戦が予定されており、それに先立って敵の航空戦力を撃滅しておくのです。

 パレンバン落下傘降下作戦には陸軍飛行第六十四戦隊、通称、加藤隼戦闘隊が護衛にあたることになっていました。加藤戦隊の檜與平中尉はマレーのカハンの宿舎の近くのゴム林の広場にたくさんの兵士が車座になっているのを見かけました。そこには黄色い袋の落下傘が高く積み上げられ、祭壇が設けられて数本の蝋燭が灯されていました。落下傘降下部隊「空の神兵」です。神兵たちは敬虔な祈りを捧げていました。檜中尉は足をとめて成功を祈り、頭を深く垂れました。そして行き過ぎようとすると走って追いかけてくる人たちがいます。檜中尉の同期の元田精一中尉と、飯塚英夫中尉、野崎幹雄中尉でした。みな落下傘部隊の操縦者です。

「おお、檜、パレンバンの敵さんはどうだい」


「パレンバンには、いるぞ、いるぞ。戦闘機が山ほどいるから、危ねえものだぞ」

「ほんとか。降りたらこっちのものだが、降りるまでは、なんともならん。降りるまでは頼むぞ」

「心配するな。うちの部隊がついているんだ。安心して、おフクロの夢でも見て寝ろよ、大船にのった気でなあ」「じゃあ、あしたな」

「うん、頼むぞ」

 14日、陸軍戸山学校で鍛えられた一騎当千の空の神兵降下部隊329名のうちの第1悌団は一〇〇式輸送機やロ式輸送機に乗り、パレンバンを目指しました。護衛は加藤隼戦闘隊と飛行第59戦隊です。
 パレンバンは視界が悪く目標がなかなか見えません。やっと雲の切れ間があり、高度を600メートルまで下げ、大編隊はパレンバンへは突進しました。いよいよ降下のというときは飛行速度は時速200キロ近くまで落とします。このとき敵機に攻撃されると大変です。高度300メートル。雲のため落下傘降下の最低高度となりました。まだ敵機は現れません。

「いまだ、はやく降りてくれ!」

 加藤隼戦闘隊員は祈るような気持ちで輸送機を見つめました。11時25分、歴史的瞬間!輸送機から黒いものがパラパラと無数に転がり出て、あっと思う間に純白の落下傘が間隔をおいてパッパッと開きました。気付いた敵の地上砲火が炸裂しはじめました。しかし、この時点では落下傘部隊の被害は皆無でした。加藤戦隊は来襲してくる敵ハリケーン戦闘機やスピットファイアと交戦し、12分の戦闘でこれらを撃墜しました。そして空の神兵が地上で集結しつつあるのを確認して戦場を離脱しました。

 2月15日朝、偵察機から報告が入りました。
「精油所は火煙のため確認できざるも、飛行場占領部隊は集結した部隊をもって飛行場を攻撃。その占領も時間の問題と考えられる」

 15日には第二次の降下部隊第2悌団がパレンバンに降下しました。この時点で既に飛行場は占領していました。空の神兵たちはパレンバン市街を占領しました。神兵はじつによく大任を果たし、加藤戦隊を喜ばせました。また、この占領によりシンガポールのイギリス軍の後方を遮断させることになり、15日9時50分、イギリス軍は白旗をあげて降伏しました。

 2月17日、加藤隼戦闘隊はパレンバン飛行場へ進みました。ゴム林の中にはどこもかしこも石油缶の山であり、"ガソリンの一滴血の一滴"のスローガンで節約してきた日本人にとっては驚きでした。辻々の立札には日本の落下傘部隊が降下してきた場合に、抵抗することを指示した絵入りのポスターが貼られていました。情報は洩れていたのです。しかし、シンガポール陥落より前に強行したことが「奇襲」となり成功となったのでした。



参考文献
 光人社「隼戦闘隊長 加藤建夫」檜與平(著)
 光人社NF文庫「つばさの血戦」檜與平(著)
 PHP研究所「歴史街道」2011.8『加藤隼戦闘隊』
添付画像
 一式戦一型(キ43-I)(PD)

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空の神兵
http://www.youtube.com/watch?v=sZwRg-rNnzs

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