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鉄脚のエース、檜與平

義足を空にあげた加藤隼戦闘隊のエース。

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 陸軍飛行第六十四戦隊、通称加藤隼戦闘隊の檜與平と言えば、鉄脚のエースとして有名です。

 昭和18年(1943年)11月25日、ビルマのラングーンに敵機来襲の情報が入ります。ミンガラドンの加藤隼戦闘隊第三中隊4機が迎撃に向かいました。すると見たこともない単発の、頭の尖った飛行機が7機、ロッテ(2機ペアの戦術)を組んで飛んでいます。檜大尉、隅野中尉、木下准尉が計3機を撃墜したものの、高性能戦闘機の出現に警戒を強めました。P51ムスタング戦闘機が現れたのです。

 11月27日、ラングーンに敵戦爆連合約80機が来襲。加藤隼戦闘隊第三中隊8機が迎撃に向かいます。10対1の対決です。檜大尉機は前上方からバリバリ攻撃を仕掛けました。戦闘は海上までもつれ、檜中尉はP51ムスタングに照準を合わせます。後方より銃撃を加え1機撃墜、さらにB24に照準を合わせ撃墜。さらにもう1機に狙いを付けたとき、激しい衝撃を感じました。別のP51から下後方より狙い撃たれたのです。檜大尉の右足首がちぎれてしまいました。檜大尉は瀕死の状態で基地に帰還し、すぐ野戦病院へ運ばれました。

「お願いですから、私の足は切らないでください。足を切られては飛行機に乗れなくなるから・・・」

檜中尉の願いは虚しく足は切断されてしまいました。

 檜中尉は内地に戻ることになりました。羽田へ着くと、迎えに来るはずの自動車が来ていません。有楽町から電話して自動車をよこしてもらいましたが、「ご苦労です」と、運転手に声をかけても返事がありません。軍医学校へ着くと衛生兵が「背負いますよ」と馴れ馴れしい態度で接してきました。部屋は大部屋で外来患者が大勢いるところです。大尉といえども戦えなくなった兵にはこうも厳しいものか・・・しかし、昭和19年(1944年)3月に「加藤隼戦闘隊」の映画が封切られると病院内で檜大尉のことが話題になり連日の慰問攻めにあいました。

 檜大尉は義足をつけ、必死のリハビリを始めました。「もう一度空にあがる」の一念でした。義足をつけた箇所の皮膚は破れ痛みが激しくなり、再度手術することになります。治ってからまたリハビリのやり直しです。朝、義足を付けて歩くと患部が痛み、窓に寄りかかって踏み込む毎日でした。リハビリは続けられ、最後の仕上げで箱根湯本で訓練を行いました。そこには航空関係者の特別療養所がありましたが、檜大尉は当初入れてはもらえませんでした。もう空には上がれないと思われたのです。それを知った檜大尉は悔しくてたまりませんでした。

 昭和19年(1944年)11月27日、負傷して1年、檜大尉は恩賜の義足を装着し、軍服をまとい、軍刀を吊るし、立川の航空審査部に到着しました。そこで加藤隼戦闘隊にいた黒江保彦少佐に会いました。二人はかたく手を握り合い、目には熱いものがこみあげてきました。

 檜大尉は教官として明野教導飛行師団の勤務となります。三重の明野飛行場に着いた檜大尉はそこから97式戦闘機に載って高松へ向かいました。途中で垂直旋回、斜め宙返りを試します。義足の右足の踏ん張りが遅れると機体がすべります。2,3回やるうちに以前と変わりなく操縦できるようになりました。

「ついに飛行機に乗ったぞ!ジュラルミンの義足が空中へ上がったのだ!」

 昭和20年(1945年)7月16日10時頃、"敵小型編隊、伊勢湾に向かい北上中!"の情報が入ります。

「まわせ!」

 檜大尉の陸軍最新鋭五式戦闘機が飛び立ちました。敵機はあのP51ムスタングです。敵戦闘機との交戦は足をなくした日以来1年半ぶりでした。檜大尉機はP51にぐんぐん近づいていきました。あと100メートル、照準眼鏡を覗きます。「畜生!」、右足を突っ張ったつもりでも義足では微妙に自由がきかず、機体がすべり、これでは撃っても命中しません。50メートル、20メートル、これなら機体がすべっても命中間違いなし。ダダダダダ!P51は翼が吹き飛び落下していきました。加藤隼戦闘隊のエース復活、それも鉄脚のエース復活でした。



参考文献
 光人社NF文庫「つばさの血戦」檜與平(著)
 光人社NF文庫「あゝ隼戦闘隊」黒江保彦(著)
 PHP研究所「歴史街道」2011.8『加藤隼戦闘隊』

添付画像
 檜與平 「歴史街道」2011.8より

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一式戦・隼を語る_檜與平(桧与平)エースパイロットの証言
www.youtube.com/watch?v=0yHlloZoUeM

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

職務経歴書の書き方さん、コメントありがとうございます。

檜さんのお話は何時聞いても感動します。
つばさの決戦は愛読書です。
Ki43でよくビルマの空を守れたかと。
記事UPありがとうございます。

Hookさん、コメントありがとうございます。
加藤戦隊の話はどれも感動的です。こういう話を残していきたいものです。

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