フランスは世界で最高の文明国なのか
自由、平等は両立できない。偽善。
昭和11年(1936年)頃、フランスはベトナムのハノイ、サイゴンを文明のショーウィンドウにしようときれいな建物を建てます。ところが一歩裏通りに入ると、まるで流行遅れの古い建物ばかりでした。ベトナムはフランスの植民地だった時代です。この時代、農民の1/3は土地が持てず、2/3は一畝(約300坪)前後の耕地しか持っていない状態でした。
仏印、英印、蘭印 昭和15年11月井出諦一著(GHQ焚書図書開封2より)
「農民は飢餓線上を彷徨しており、その生活費は1日2フラン15セントから1フラン20セントで、手から口への境涯(手にすればすぐ口に入る)だから、何か事があればすぐに高利貸しの世話になり、生涯うだつは上がらない。ジョセフ・F・ワーレン氏のマンダリンロード旅行記によると「月夜ならば月光の洩れようというあばら家に住む百姓は2300万人中の90%」だということであり、その多数の農民達はフランス人46,000名中11,000名が兵隊、文官4,700名、残りが産業関係者と女性達という招集者によってこんな有様に搾取されているのである」
いわゆる西洋で貴族が農民から搾取し、うなるような財力で庶民を従えさせたことを植民地に持ち込んでいるわけです。自国は革命によってなくなりましたが、植民地で復活させたわけです。表向きは「文明」を宣伝しているのです。
「ワーレン氏をしていわしめれば、『フランス植民地行政の内幕に潜むこれらの陰影(格差)が、かつてアルベー・サローによって、何処から見ても仏領植民地中最も重要、最も開発され、最も栄えているといわれた仏領インドシナほど明瞭に看取される所はない』のである」
「英領インド、蘭領インドに比べてみれば、フランス人の支配観念が余りにも無慈悲で不親切で利己的でフランス人そのものの影の性格を遺憾なく暴露している」
イギリス人、オランダ人と比べてもフランス人は無慈悲で不親切で利己的と言っています。フランスは自国を「世界で最高の文明国」と称して宣伝する国です。1789年世界で先駆けて人権宣言を行い、自由、平等、博愛を掲げたのですが、どうでしょう。
フランスがベトナムに持ち込んだものにギロチンによる死刑、公開処刑、死後のさらし首、親子兄弟を投獄し全員虐殺というのもあります。これが文明国のやることでしょうか。
現在のフランスは道路のゴミ捨てはチュニジア人やモロッコ人の担当、不動産屋はベトナム人が多く、アパートの管理人はスペイン人が多いが持ち主はフランス人。「人種差別禁止法」というのがありますが、人種差別があるからそんな法律ができるわけです。トルコとアルメニア間でアルメニア人虐殺問題がありますが、アルメニア人が多く住むフランスではアルメニア人虐殺事件を否定することを法律で禁じています。これが自由の国なのでしょうか。こうしたフランスの偽善的な人権、自由、平等、博愛は世界に撒き散らされました。そして日本ではインテリ系がこれに飛びついて自己都合の人権、自由、平等、博愛を叫んでビジネス化しているわけです。
参考文献
徳間書店「GHQ焚書図書開封2」西尾幹二(著)
明成社「日越ドンズーの華」田中孜(著)
藤原書店「だから、イスタンブールはおもしろい」澁澤幸子(著)
添付画像
1789年の人権宣言と国民の表現(PD)
最近のコメント